GROW UP MAGAZINE
経営財務
作成日: 2026.07.15
更新日: 2026.08.12
空き家の固定資産税が最大6倍に? 「管理不全空家」の対象拡大で相続した実家も要注意
「実家を相続したものの、誰も住んでいない」
「いつか片づけようと思いながら、そのまま数年が経っている」
このような空き家を所有している方は、注意が必要です。
管理状態の悪い空き家については、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として指導・勧告を受ける可能性があります。
そして、勧告を受けると、土地に適用されていた「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税の負担が大きく増える場合があります。
特に2023年の法改正によって「管理不全空家」という新たな区分が設けられたことで、倒壊寸前のような深刻な状態になる前の段階から行政が対応できるようになりました。
今回は、空き家と固定資産税の関係や、相続した実家を放置するリスクについて分かりやすく解説します。
全国の空き家は約900万戸
総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は約900万戸となり、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。
空き家が長期間放置されると、
建物の倒壊
屋根や外壁の落下
火災
害虫・害獣の発生
雑草や樹木の繁茂
不法侵入
景観悪化
など、周辺地域にもさまざまな問題を引き起こします。
こうした問題に対応するため、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を整備し、市区町村が問題のある空き家の所有者に対して指導や勧告を行える仕組みを設けています。
なぜ固定資産税が「最大6倍」と言われるのか
住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の優遇措置があります。
200㎡以下の小規模住宅用地については、固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されます。
200㎡を超える部分についても、一般住宅用地として3分の1に軽減されます。
都市計画税についても、
小規模住宅用地:3分の1
一般住宅用地:3分の2
という軽減措置があります。
空き家であっても、一定の条件を満たしていれば、この住宅用地特例を受けることができます。
しかし、市区町村から「特定空家」または「管理不全空家」として勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。
そのため、200㎡以下の土地では、固定資産税の課税標準が6分の1から本来の水準へ戻ることになり、「固定資産税が最大6倍になる」と説明されることがあります。
ただし、実際の納税額が必ず6倍になるわけではありません。
土地の評価額や負担調整措置などによって実際の税額は異なるため、個別の金額については市区町村や税理士への確認が必要です。
「特定空家」と「管理不全空家」の違い
空き家対策では、大きく「特定空家」と「管理不全空家」という2つの段階があります。
特定空家とは
放置することで、周辺への悪影響がすでに深刻化している空き家です。
例えば、
倒壊するおそれがある
衛生上著しく有害となるおそれがある
著しく景観を損ねている
周辺の生活環境を守るため放置することが不適切
といった状態が該当します。
管理不全空家とは
2023年の法改正によって新設された制度です。
現在は特定空家ほど深刻ではないものの、このまま放置すると将来的に特定空家になるおそれがある空き家が対象になります。
例えば、
屋根や外壁の一部が破損している
窓が割れたままになっている
雑草や樹木が繁茂している
定期的な点検や修繕が行われていない
といった状態です。
つまり、「まだ倒壊するほどではないから大丈夫」という考え方は通用しにくくなっています。
「管理不全空家」への指導・勧告が実際に増えている
改正空家法は2023年12月に施行されました。
国土交通省によると、施行後から2025年3月末までに、全国の市区町村で管理不全空家に対して3,211件の指導、378件の勧告が行われています。
制度が作られただけではなく、自治体による実際の運用が全国で進んでいることが分かります。
特に注意したいのが、相続によって取得したものの、
「年に数回見に行く程度」
「たまに換気するだけ」
「庭の手入れをほとんどしていない」
といった状態になっている実家です。
住む予定がなくても、所有している以上は適切な管理が求められます。
指導を受けただけでは増税にならない
ここは非常に重要です。
管理不全空家や特定空家になっただけで、すぐ固定資産税が上がるわけではありません。
一般的には、
① 市区町村が空き家の状態を確認
② 必要に応じて所有者へ助言・指導
③ 改善されない場合に勧告
④ 勧告を受けると住宅用地特例の対象外
という流れになります。
つまり、重要なのは**「勧告を受ける前に改善すること」**です。
自治体から指導を受けた段階で修繕や草木の除去など必要な対応を行えば、住宅用地特例を失うリスクを避けられる可能性があります。
特定空家では行政代執行まで進むことも
状態がさらに悪化して特定空家となった場合には、より強い行政措置が取られる可能性があります。
指導や勧告に従わなければ命令が出され、正当な理由なく命令に違反した場合には50万円以下の過料の対象となることがあります。
さらに危険な状態が放置されれば、市区町村が所有者に代わって建物を解体する「行政代執行」が行われる場合もあります。
行政代執行にかかった費用は、原則として所有者へ請求されます。
放置すればするほど、所有者側の選択肢と時間が少なくなっていきます。
空き家を持ち続けるなら「管理」が必要
すぐに売却や活用をしない場合でも、適切な管理を続けることが重要です。
例えば、
定期的な換気
通水
雨漏りの確認
屋根・外壁の点検
庭木の剪定
除草
郵便物の回収
害虫・害獣の確認
などです。
遠方に住んでいて自分で管理することが難しい場合には、空き家管理サービスへ委託する方法もあります。
「何もしないで持ち続ける」という選択が、最もリスクの高い状態になりつつあります。
売却・活用・解体も含めて考える
使う予定がない場合には、今後の方向性を早めに決めることをおすすめします。
賃貸などで活用する
建物の状態や立地によっては、リフォームして賃貸住宅として活用できる可能性があります。
空き家バンクなどを通じて借り手を探す方法もあります。
売却する
古い建物であっても、土地としての需要やリフォーム需要があれば売却できる場合があります。
「古いから売れない」と決めつけず、一度査定を受けてみることも重要です。
解体して土地を活用する
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体も選択肢となります。
ただし、住宅を解体して更地にすると、原則として住宅用地特例が利用できなくなります。
固定資産税が上昇する可能性があるため、
売却予定
駐車場利用
建替え
その他の土地活用
まで含めて検討する必要があります。
「持ち続けるコスト」を計算する
空き家について考える際は、固定資産税だけを見るのでは不十分です。
実際には、
固定資産税
都市計画税
火災保険
修繕費
草刈り・清掃費
空き家管理サービス
水道・電気等の基本料金
将来の解体費
などが発生します。
例えば年間30万円の維持費がかかる空き家を10年間放置すれば、それだけで300万円です。
将来利用する予定がないのであれば、「今売った場合」と「10年間持ち続けた場合」を数字で比較することが重要です。
今からやっておきたい3つのこと
1.空き家の現状を確認する
まず現地を確認し、
建物に破損はないか
草木が伸びていないか
雨漏りしていないか
近隣に迷惑をかけていないか
をチェックしましょう。
2.年間の保有コストを計算する
税金だけではなく、管理費や修繕費まで含めて年間いくらかかっているのかを整理します。
「使っていないからお金がかからない」ということはありません。
3.活用・売却・解体・管理の方向性を決める
数年間そのままにするのではなく、
自分や家族が使う
貸す
売る
解体する
当面適切に管理する
のどれを選ぶのか、期限を決めて検討することが大切です。
まとめ
空き家に関する制度は、2023年の法改正によって大きく変わりました。
従来の「特定空家」だけでなく、その一歩手前にあたる「管理不全空家」でも、改善されず勧告を受ければ住宅用地特例が解除されます。
その結果、土地の固定資産税負担が大幅に増える可能性があります。
ポイントは、
管理不全空家でも住宅用地特例が外れる可能性がある
自治体による指導・勧告の実績が全国で増えている
指導段階で改善すれば増税を回避できる可能性がある
放置せず、活用・売却・解体・管理の方向性を早く決める
ということです。
相続した実家は「とりあえずそのまま」にしがちですが、時間が経つほど建物は傷み、維持費も増え、選択肢も少なくなります。
早い段階で現状と費用を確認し、今後どうするのかを家族で話し合っておくことをおすすめします。
「いつか片づけようと思いながら、そのまま数年が経っている」
このような空き家を所有している方は、注意が必要です。
管理状態の悪い空き家については、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として指導・勧告を受ける可能性があります。
そして、勧告を受けると、土地に適用されていた「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税の負担が大きく増える場合があります。
特に2023年の法改正によって「管理不全空家」という新たな区分が設けられたことで、倒壊寸前のような深刻な状態になる前の段階から行政が対応できるようになりました。
今回は、空き家と固定資産税の関係や、相続した実家を放置するリスクについて分かりやすく解説します。
全国の空き家は約900万戸
総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は約900万戸となり、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。
空き家が長期間放置されると、
建物の倒壊
屋根や外壁の落下
火災
害虫・害獣の発生
雑草や樹木の繁茂
不法侵入
景観悪化
など、周辺地域にもさまざまな問題を引き起こします。
こうした問題に対応するため、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を整備し、市区町村が問題のある空き家の所有者に対して指導や勧告を行える仕組みを設けています。
なぜ固定資産税が「最大6倍」と言われるのか
住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の優遇措置があります。
200㎡以下の小規模住宅用地については、固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されます。
200㎡を超える部分についても、一般住宅用地として3分の1に軽減されます。
都市計画税についても、
小規模住宅用地:3分の1
一般住宅用地:3分の2
という軽減措置があります。
空き家であっても、一定の条件を満たしていれば、この住宅用地特例を受けることができます。
しかし、市区町村から「特定空家」または「管理不全空家」として勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。
そのため、200㎡以下の土地では、固定資産税の課税標準が6分の1から本来の水準へ戻ることになり、「固定資産税が最大6倍になる」と説明されることがあります。
ただし、実際の納税額が必ず6倍になるわけではありません。
土地の評価額や負担調整措置などによって実際の税額は異なるため、個別の金額については市区町村や税理士への確認が必要です。
「特定空家」と「管理不全空家」の違い
空き家対策では、大きく「特定空家」と「管理不全空家」という2つの段階があります。
特定空家とは
放置することで、周辺への悪影響がすでに深刻化している空き家です。
例えば、
倒壊するおそれがある
衛生上著しく有害となるおそれがある
著しく景観を損ねている
周辺の生活環境を守るため放置することが不適切
といった状態が該当します。
管理不全空家とは
2023年の法改正によって新設された制度です。
現在は特定空家ほど深刻ではないものの、このまま放置すると将来的に特定空家になるおそれがある空き家が対象になります。
例えば、
屋根や外壁の一部が破損している
窓が割れたままになっている
雑草や樹木が繁茂している
定期的な点検や修繕が行われていない
といった状態です。
つまり、「まだ倒壊するほどではないから大丈夫」という考え方は通用しにくくなっています。
「管理不全空家」への指導・勧告が実際に増えている
改正空家法は2023年12月に施行されました。
国土交通省によると、施行後から2025年3月末までに、全国の市区町村で管理不全空家に対して3,211件の指導、378件の勧告が行われています。
制度が作られただけではなく、自治体による実際の運用が全国で進んでいることが分かります。
特に注意したいのが、相続によって取得したものの、
「年に数回見に行く程度」
「たまに換気するだけ」
「庭の手入れをほとんどしていない」
といった状態になっている実家です。
住む予定がなくても、所有している以上は適切な管理が求められます。
指導を受けただけでは増税にならない
ここは非常に重要です。
管理不全空家や特定空家になっただけで、すぐ固定資産税が上がるわけではありません。
一般的には、
① 市区町村が空き家の状態を確認
② 必要に応じて所有者へ助言・指導
③ 改善されない場合に勧告
④ 勧告を受けると住宅用地特例の対象外
という流れになります。
つまり、重要なのは**「勧告を受ける前に改善すること」**です。
自治体から指導を受けた段階で修繕や草木の除去など必要な対応を行えば、住宅用地特例を失うリスクを避けられる可能性があります。
特定空家では行政代執行まで進むことも
状態がさらに悪化して特定空家となった場合には、より強い行政措置が取られる可能性があります。
指導や勧告に従わなければ命令が出され、正当な理由なく命令に違反した場合には50万円以下の過料の対象となることがあります。
さらに危険な状態が放置されれば、市区町村が所有者に代わって建物を解体する「行政代執行」が行われる場合もあります。
行政代執行にかかった費用は、原則として所有者へ請求されます。
放置すればするほど、所有者側の選択肢と時間が少なくなっていきます。
空き家を持ち続けるなら「管理」が必要
すぐに売却や活用をしない場合でも、適切な管理を続けることが重要です。
例えば、
定期的な換気
通水
雨漏りの確認
屋根・外壁の点検
庭木の剪定
除草
郵便物の回収
害虫・害獣の確認
などです。
遠方に住んでいて自分で管理することが難しい場合には、空き家管理サービスへ委託する方法もあります。
「何もしないで持ち続ける」という選択が、最もリスクの高い状態になりつつあります。
売却・活用・解体も含めて考える
使う予定がない場合には、今後の方向性を早めに決めることをおすすめします。
賃貸などで活用する
建物の状態や立地によっては、リフォームして賃貸住宅として活用できる可能性があります。
空き家バンクなどを通じて借り手を探す方法もあります。
売却する
古い建物であっても、土地としての需要やリフォーム需要があれば売却できる場合があります。
「古いから売れない」と決めつけず、一度査定を受けてみることも重要です。
解体して土地を活用する
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体も選択肢となります。
ただし、住宅を解体して更地にすると、原則として住宅用地特例が利用できなくなります。
固定資産税が上昇する可能性があるため、
売却予定
駐車場利用
建替え
その他の土地活用
まで含めて検討する必要があります。
「持ち続けるコスト」を計算する
空き家について考える際は、固定資産税だけを見るのでは不十分です。
実際には、
固定資産税
都市計画税
火災保険
修繕費
草刈り・清掃費
空き家管理サービス
水道・電気等の基本料金
将来の解体費
などが発生します。
例えば年間30万円の維持費がかかる空き家を10年間放置すれば、それだけで300万円です。
将来利用する予定がないのであれば、「今売った場合」と「10年間持ち続けた場合」を数字で比較することが重要です。
今からやっておきたい3つのこと
1.空き家の現状を確認する
まず現地を確認し、
建物に破損はないか
草木が伸びていないか
雨漏りしていないか
近隣に迷惑をかけていないか
をチェックしましょう。
2.年間の保有コストを計算する
税金だけではなく、管理費や修繕費まで含めて年間いくらかかっているのかを整理します。
「使っていないからお金がかからない」ということはありません。
3.活用・売却・解体・管理の方向性を決める
数年間そのままにするのではなく、
自分や家族が使う
貸す
売る
解体する
当面適切に管理する
のどれを選ぶのか、期限を決めて検討することが大切です。
まとめ
空き家に関する制度は、2023年の法改正によって大きく変わりました。
従来の「特定空家」だけでなく、その一歩手前にあたる「管理不全空家」でも、改善されず勧告を受ければ住宅用地特例が解除されます。
その結果、土地の固定資産税負担が大幅に増える可能性があります。
ポイントは、
管理不全空家でも住宅用地特例が外れる可能性がある
自治体による指導・勧告の実績が全国で増えている
指導段階で改善すれば増税を回避できる可能性がある
放置せず、活用・売却・解体・管理の方向性を早く決める
ということです。
相続した実家は「とりあえずそのまま」にしがちですが、時間が経つほど建物は傷み、維持費も増え、選択肢も少なくなります。
早い段階で現状と費用を確認し、今後どうするのかを家族で話し合っておくことをおすすめします。