「令和7年度補正予算(観光庁関係)から読み解く」

こんにちは、グロウアップパートナーズの浮島です。

今回は、令和7年度補正予算(観光庁関係)の内容をもとに、来年度以降の補助金制度がどのような方向性で整理されていくのかを解説します。

補正予算は、単なる一時的な対策ではなく、翌年度以降の制度設計や重点分野を先取りして示す性格を持っています。
そのため、今後の補助金活用を検討するうえで、非常に重要な資料となります。

実務上も、来年度以降の補助金制度は、この補正予算の考え方から大きく外れることはほとんどありません。

1.補正予算の全体像
令和7年度の観光庁関係補正予算は、約225億円規模となっています。
主な目的として、次の点が明確に示されています。

①オーバーツーリズムへの対応
②地方への観光需要の分散
③観光産業の生産性向上
④インバウンドの質的向上

単なる観光需要の拡大ではなく、持続可能性や付加価値の創出を重視する構成となっている点が特徴です。

2.来年度以降につながりやすい重点分野
(1)省力化・省人化投資
宿泊業・観光業を中心に、以下のような設備投資への支援が整理されています。
・自動チェックイン機
・セントラルキッチン
・共同利用設備(送迎設備、バックヤード設備 等)
人手不足を前提とした事業設計が前提となっており、来年度以降の省力化投資補助金や業種別補助金につながりやすい分野といえます。

(2)DX・デジタルツール活用
観光分野に限らず、補正予算では以下のようなDX関連投資が複数盛り込まれています。
・予約・在庫管理システム
・キャッシュレス決済
・データ分析ツール
・生成AI等の活用

来年度以降も、「デジタル導入そのもの」ではなく、業務効率化や生産性向上につながるかどうかが重視される傾向が続くと考えられます。

(3)高付加価値・高単価化の取り組み
補正予算では、以下のような取り組みが明確に整理されています。
・高単価な観光コンテンツの造成
・ガストロノミー分野への対応
・地域資源を活用した体験型サービス

今後の補助金制度では、「設備を導入したか」よりも、どのような付加価値を生み、単価向上につながるのかがより厳しく問われる流れが続くと見込まれます。

3.観光業以外への波及効果
今回の補正予算の考え方は、観光業に限定されるものではありません。

・建設業:バリアフリー化、省力化工事
・製造業:観光向け商品、設備製造
・IT事業者:DX支援、システム開発
・運送業:観光交通、二次交通の整備
など、関連業種への波及が想定されます。
来年度以降は、異業種連携型の事業計画や地域連携を含む構想が、より評価されやすくなる可能性があります。

4.補助金活用における留意点
現在、補助金制度は多様化しており、同じ取り組み内容でも、複数の制度が選択肢となるケースが増えています。
そのため、補助率、上限額、対象経費、公募時期を比較したうえで、自社にとって最適な制度を選択することが重要です。

「使えそうだから申請する」ではなく、事業計画との整合性を重視した制度選択が、今後ますます求められます。

5.まとめ
・補正予算は、来年度以降の補助金の方向性を示している
・共通キーワードは「省力化」「DX」「高付加価値」
・観光業以外の業種にも影響が及ぶ内容
・制度選択と事業設計の重要性が高まっている

今後、来年度公募の詳細が順次公表されていく見込みです。
補正予算の内容を踏まえ、早めに事業構想を整理しておくことが、補助金活用の成否を分けるポイントとなります。