「2026年度予算案から見る「業務改善助成金」の変更点と活用ポイント」

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補助金・助成金
作成日: 2026.01.08 更新日: 2026.02.02

2026年度予算案から見る「業務改善助成金」の変更点と活用ポイント

政府は、一般会計総額 122兆3,092億円 となる2026年度(令和8年度)当初予算案 を閣議決定しました。

今回の予算案における大きなテーマの一つが、「物価上昇を上回る賃上げの定着」 です。

中小企業・小規模事業者が無理なく、かつ継続的に賃上げを行える環境整備として、厚生労働省の各種助成金は 2026年度も継続・一部拡充 される方針です。

本記事では、その中でも利用件数が年々増加している「業務改善助成金」 について、2026年度予算案での変更点と実務上の活用ポイントを解説します。

業務改善助成金とは
― 設備投資と最低賃金引上げを同時に支援 ―

業務改善助成金は、
・生産性向上に資する設備投資等(機械設備、POSレジ、DXツール、コンサル導入、人材育成・教育訓練など)
・事業場内最低賃金を一定額以上引き上げること
この2点を同時に実施した場合に、設備投資等に要した費用の一部を国が助成する制度です。

毎年のように地域別最低賃金が改定される中、「最低賃金引上げ」と「設備投資」をセットで支援できる点が大きな特徴です。

利用実績は年々増加
・令和4年度:5,672件
・令和5年度:13,603件
・令和6年度:17,616件
助成額が手厚いこともあり、実務上でも非常に活用されている助成金です。

【2026年度】業務改善助成金の主な変更点
2026年度予算案では、賃上げをより実効性のあるものとするため、制度の見直しが行われます。
① 賃金引上げコースが「3コース」に再編
これまでの
30円/45円/60円/90円(4コース) から、
50円/70円/90円(3コース) に再編されます。
今後は、最低でも50円以上の賃上げが求められる制度設計となります。

② 支援対象事業場の要件を拡大
従来あった「地域別最低賃金との差額が○円以内」といった細かな要件は見直され、事業場内最低賃金が、2026年度の地域別最低賃金未満である事業場であれば、原則として支援対象となります。
より多くの中小企業が活用しやすい制度へと整理されています。

③ 募集時期の重点化(要注意)
募集期間は、
・2026年9月1日から
・地域別最低賃金の発効日前日 または 11月末日のいずれか早い日まで
となる予定です。

そのため、2026年8月31日までは募集が行われないと想定され、最低賃金改定時期に合わせた 事前準備が必須 となります。

④ 助成率は引き続き高水準を維持
・事業場内最低賃金 1,050円未満:4/5
・事業場内最低賃金 1,050円以上:3/4
引き続き、非常に高い助成率が維持されます。

【注意】助成上限額は一部引き下げ
一方で、引き上げ対象労働者数が少ない事業者については、助成上限額が引き下げ られています。


・令和7年度
45円引上げ・労働者1人
→ 助成額 45万円(80万円)

・令和8年度(案)
50円引上げ・労働者1人
→ 助成額 30万円(40万円)
※( )内は従業員30人未満事業者

「少人数だから満額が出る」とは限らず、引き上げ人数・設備投資額の設計がより重要になります。

実務上の活用ポイント
・最低賃金改定前から設備投資計画+賃金改定計画をセットで検討
・50円以上の賃上げが現実的かを早期にシミュレーション
・小規模事業者ほど他の補助金・助成金との併用検討が重要

まとめ
2026年度の業務改善助成金は、
✔ 賃上げ幅は厳格化(最低50円)
✔ 対象事業場は拡大
✔ 助成率は高水準維持
✔ ただし助成上限額には注意
という、メリハリの効いた制度へと進化しています。

最低賃金引上げが避けられない今、設備投資と賃上げを同時に進める企業にとって、依然として有力な支援策であることに変わりはありません。

制度内容を正しく理解し、早めの準備で確実な活用を進めていきましょう。

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