「【令和8年度】IT導入補助金→デジタル化・AI導入補助金2026へ|公募要領から読み解く変更点」

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補助金・助成金
作成日: 2026.03.18 更新日: 2026.03.18

【令和8年度】IT導入補助金→デジタル化・AI導入補助金2026へ|公募要領から読み解く変更点

令和7年度まで実施されていた「IT導入補助金」は、令和8年度より「デジタル化・AI導入補助金2026」へと名称変更されました。

「制度は大きく変わったのか?」という点については、結論として大枠はほぼ変わっていません。
補助額・補助率・枠構成・申請スキームはいずれも2025年度の内容を踏襲しています。

しかし、公募要領を精査すると、実務に影響する細かな変更点が複数存在します。
本記事では、見落としがちなポイントを中心に整理します。

変更点①:名称・事業名の変更
もっとも分かりやすい変更点は制度名称です。

令和7年度は「IT導入補助金2025」でしたが、令和8年度からは「デジタル化・AI導入補助金2026」に変更されました。

また、事業名も「サービス等生産性向上IT導入支援事業」から「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」へと変更されています。

なお、事務局(TOPPAN株式会社)や申請スキーム(IT導入支援事業者との共同申請)、ITツールの事前登録制度、枠構成(通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠・複数社連携枠)については変更ありません。

変更点②:ソフトウェアの定義に「AI」が明記
2025年版では、ITツールの定義に含まれるソフトウェアは単に「ソフトウェア」とされていましたが、2026年版では「ソフトウェア(AIを含む)」と明記されました。

これにより、制度としてAI導入を推進する姿勢が明確になっています。
また、ITツール検索時にAI機能の有無を確認できる仕組みも新たに追加されています。

変更点③:補助率引上げ条件の表現が明確化
通常枠の補助率引上げ(1/2から2/3)に関する条件について、表現が変更されました。

判定期間はこれまでと同様に令和6年10月から令和7年9月までで、対象となる従業員割合(30%以上)も変わっていません。

一方で、2026年版では新たに「地域別最低賃金以上」という下限が明記されました。
これにより、条件自体は大きく変わっていないものの、判定基準がより明確かつ厳密になった点に注意が必要です。

変更点④:「省力化ナビ」が加点項目に追加
2026年版では、新たな加点項目として**「省力化ナビの活用」**が追加されました。

省力化ナビは中小機構が提供する省力化投資の検討支援ツールであり、これを活用することで採択時の評価向上が期待できます。

なお、2025年版では途中追加された加点項目がありましたが、それらは2026年版では当初から組み込まれています。

変更点⑤:通常枠の賃上げ要件が強化
今回の改定で最も重要なポイントの一つが賃上げ要件です。

まず、給与の年平均成長率について、従来は一律1.5%以上とされていましたが、2026年版では最低でも3%以上に引き上げられました。
さらに、過去にIT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けている事業者については、3.5%以上の成長率が求められます。

また、これまでは補助金申請額が150万円未満の場合、賃上げ計画は任意(加点項目)でしたが、過去に交付決定を受けている事業者については、150万円未満であっても賃上げ計画が必須となりました。

整理すると、以下のようになります。

●過去に交付決定を受けていない場合
150万円未満であれば賃上げ計画は任意、150万円以上であれば必須。目標水準は3%以上。

●過去に交付決定を受けている場合
金額に関わらず賃上げ計画は必須。目標水準は3.5%以上。

いずれの場合も、最低賃金を30円以上上回る水準が求められます。

なお、賃上げが必須となるケースでは、目標未達の場合に補助金返還のリスクがあるため、慎重な検討が必要です。

また、小規模事業者や医療・介護・福祉関連事業者、学校法人などは賃上げ要件の適用外とされています。

変更点⑥:インボイス枠も賃上げ基準が引き上げ
インボイス枠(インボイス対応類型)については、賃上げ計画は引き続き任意(加点項目)ですが、目標水準は引き上げられています。

具体的には、過去に交付決定を受けていない事業者は3%以上、過去に交付決定を受けている事業者は3.5%以上の給与成長率が求められます。

まとめ:変わったこと・変わっていないこと
今回の制度改定では、名称変更やAIの明記といった分かりやすい変更に加え、賃上げ要件の強化や加点項目の追加といった実務的に重要な見直しが行われています。

一方で、補助額や補助率、申請の仕組みといった制度の骨格部分は従来と変わっていません。

実務上のポイント
今回の制度は、表面的には従来と大きく変わらないように見えるものの、細かな要件の違いが採択や事後対応に影響します。

特に以下のようなケースでは注意が必要です。
●過去にIT導入補助金の交付を受けたことがある企業
●再申請を検討している企業
●150万円前後の申請を予定している企業

とくに賃上げ要件については、採択後の返還リスクにも関わるため、申請前の段階で慎重に判断することが重要です。

おわりに
デジタル化・AI導入補助金2026は、制度の大枠を維持しつつ、AI活用の推進と賃上げの実効性を高める方向で見直しが行われています。

そのため、「例年通り」で進めてしまうと見落としが生じる可能性があります。
申請を検討する際は、自社の状況に合わせて要件を正確に確認し、適切な戦略を立てることが重要です。

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