GROW UP MAGAZINE
経営財務
作成日: 2026.04.22
更新日: 2026.06.18
官公庁との取引は値上げしやすい時代へ 令和8年度「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」のポイントを解説
令和8年4月21日、「令和8年度 中小企業者に関する国等の契約の基本方針」が閣議決定されました。
この基本方針は、国や独立行政法人、地方自治体などが中小企業へ発注する際の考え方を定めるものであり、中小企業にとって大きな影響を持つ重要な方針です。
今回の内容を一言で表すなら、
「官公庁との取引において、適正な価格転嫁を認める方向性がより明確になった」
ということです。
これまで官公庁向けの契約では、「一度契約したら値上げは難しい」「価格交渉をすると次回の入札で不利になる」といった声も少なくありませんでした。
しかし今回の方針では、そうした慣行の見直しが明確に打ち出されています。
官公需市場は約29兆円規模
国や地方自治体などが発注する官公需市場は非常に大きな市場です。
国だけでも約11兆円規模、地方自治体を含めると約29兆円規模にのぼります。
令和8年度の契約目標では、
中小企業向け契約比率61%
契約金額約6.5兆円
設立10年未満の新規中小企業向け契約比率3%以上
が掲げられています。
前年度実績と比較すると約6,000億円の増加が目標とされており、国が中小企業への発注拡大を積極的に進めていることがわかります。
追い風① 契約途中でも価格交渉が可能に
今回の基本方針で最も注目すべきポイントの一つが価格転嫁への対応です。
原材料価格の上昇、人件費の増加、最低賃金の引上げなどによって契約時の採算が合わなくなった場合、契約期間中であっても価格協議を行うことができることが明確化されました。
さらに、競争入札によって締結された契約についても対象とされています。
これまで見られた
「予算がない」
「前例がない」
といった理由で価格協議を拒否する対応についても、適切ではないことが示されています。
追い風② 値上げを申し出ても不利益を受けにくくなる
中小企業の中には、
「価格交渉をすると次回の入札で不利になるのではないか」
という不安から、値上げを言い出せないケースもありました。
今回の方針では、そのような報復的な取り扱いを行わないことが明記されています。
また、価格転嫁の根拠として提出する資料についても、政府統計や公表データなどを活用できるとされており、企業側の負担軽減も図られています。
追い風③ 著作権が受注企業に残しやすくなる
ホームページ制作や動画制作、デザイン業務、システム開発などを行う事業者にとって注目すべき内容もあります。
これまでは、納品した成果物の著作権を発注者へ譲渡することが慣行となっているケースも少なくありませんでした。
しかし今回の方針では、「コンテンツ版バイ・ドール条項」の活用を推進し、受注企業側に知的財産権を残す契約形態の普及を進めることが示されています。
自社で制作したノウハウやコンテンツを資産として活用しやすくなる可能性があります。
ダンピング受注の抑制も強化
価格だけで受注先が決まる状況を改善するため、低入札価格調査制度の活用も強化されます。
現在は対象契約の約7割で実施されていますが、今後は対象契約全体への適用が目指されています。
特に、
ビルメンテナンス業
警備業
清掃業
などでは、極端な安値競争を抑制する取り組みが進められる予定です。
また、価格だけではなく技術力や品質も評価する「総合評価落札方式」の活用拡大も盛り込まれています。
地方自治体にも同様の取り組みが求められる
今回の方針は国だけの話ではありません。
都道府県や市町村についても同様の対応が求められており、令和9年度末までに全国自治体への浸透が目標とされています。
さらに地方財政計画では、
価格転嫁対応として5,850億円を増額
普通交付税に価格転嫁分約1,000億円を反映
することとされています。
つまり自治体側にも、価格改定を受け入れるための財源措置が講じられているということです。
官公庁と取引がある企業が確認したいポイント
今回の方針を踏まえ、官公庁や自治体との取引がある企業は以下を確認してみることをおすすめします。
物価高や賃上げによって採算が悪化している契約はないか
複数年契約について価格協議の余地はあるか
制作物やシステム開発契約で著作権の取り扱いは適切か
低価格競争による利益圧迫が起きていないか
まとめ
令和8年度の「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」は、中小企業が適正な価格で受注し、持続的な経営を行うための環境整備を進める内容となっています。
特に、
契約途中の価格交渉
不利益な取扱いの禁止
著作権保護の推進
ダンピング防止
といった点は、多くの中小企業にとって大きな追い風となるでしょう。
官公庁や自治体との取引がある企業は、この方針を価格交渉や契約見直しの根拠として積極的に活用していくことが重要です。
この基本方針は、国や独立行政法人、地方自治体などが中小企業へ発注する際の考え方を定めるものであり、中小企業にとって大きな影響を持つ重要な方針です。
今回の内容を一言で表すなら、
「官公庁との取引において、適正な価格転嫁を認める方向性がより明確になった」
ということです。
これまで官公庁向けの契約では、「一度契約したら値上げは難しい」「価格交渉をすると次回の入札で不利になる」といった声も少なくありませんでした。
しかし今回の方針では、そうした慣行の見直しが明確に打ち出されています。
官公需市場は約29兆円規模
国や地方自治体などが発注する官公需市場は非常に大きな市場です。
国だけでも約11兆円規模、地方自治体を含めると約29兆円規模にのぼります。
令和8年度の契約目標では、
中小企業向け契約比率61%
契約金額約6.5兆円
設立10年未満の新規中小企業向け契約比率3%以上
が掲げられています。
前年度実績と比較すると約6,000億円の増加が目標とされており、国が中小企業への発注拡大を積極的に進めていることがわかります。
追い風① 契約途中でも価格交渉が可能に
今回の基本方針で最も注目すべきポイントの一つが価格転嫁への対応です。
原材料価格の上昇、人件費の増加、最低賃金の引上げなどによって契約時の採算が合わなくなった場合、契約期間中であっても価格協議を行うことができることが明確化されました。
さらに、競争入札によって締結された契約についても対象とされています。
これまで見られた
「予算がない」
「前例がない」
といった理由で価格協議を拒否する対応についても、適切ではないことが示されています。
追い風② 値上げを申し出ても不利益を受けにくくなる
中小企業の中には、
「価格交渉をすると次回の入札で不利になるのではないか」
という不安から、値上げを言い出せないケースもありました。
今回の方針では、そのような報復的な取り扱いを行わないことが明記されています。
また、価格転嫁の根拠として提出する資料についても、政府統計や公表データなどを活用できるとされており、企業側の負担軽減も図られています。
追い風③ 著作権が受注企業に残しやすくなる
ホームページ制作や動画制作、デザイン業務、システム開発などを行う事業者にとって注目すべき内容もあります。
これまでは、納品した成果物の著作権を発注者へ譲渡することが慣行となっているケースも少なくありませんでした。
しかし今回の方針では、「コンテンツ版バイ・ドール条項」の活用を推進し、受注企業側に知的財産権を残す契約形態の普及を進めることが示されています。
自社で制作したノウハウやコンテンツを資産として活用しやすくなる可能性があります。
ダンピング受注の抑制も強化
価格だけで受注先が決まる状況を改善するため、低入札価格調査制度の活用も強化されます。
現在は対象契約の約7割で実施されていますが、今後は対象契約全体への適用が目指されています。
特に、
ビルメンテナンス業
警備業
清掃業
などでは、極端な安値競争を抑制する取り組みが進められる予定です。
また、価格だけではなく技術力や品質も評価する「総合評価落札方式」の活用拡大も盛り込まれています。
地方自治体にも同様の取り組みが求められる
今回の方針は国だけの話ではありません。
都道府県や市町村についても同様の対応が求められており、令和9年度末までに全国自治体への浸透が目標とされています。
さらに地方財政計画では、
価格転嫁対応として5,850億円を増額
普通交付税に価格転嫁分約1,000億円を反映
することとされています。
つまり自治体側にも、価格改定を受け入れるための財源措置が講じられているということです。
官公庁と取引がある企業が確認したいポイント
今回の方針を踏まえ、官公庁や自治体との取引がある企業は以下を確認してみることをおすすめします。
物価高や賃上げによって採算が悪化している契約はないか
複数年契約について価格協議の余地はあるか
制作物やシステム開発契約で著作権の取り扱いは適切か
低価格競争による利益圧迫が起きていないか
まとめ
令和8年度の「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」は、中小企業が適正な価格で受注し、持続的な経営を行うための環境整備を進める内容となっています。
特に、
契約途中の価格交渉
不利益な取扱いの禁止
著作権保護の推進
ダンピング防止
といった点は、多くの中小企業にとって大きな追い風となるでしょう。
官公庁や自治体との取引がある企業は、この方針を価格交渉や契約見直しの根拠として積極的に活用していくことが重要です。