「賃上げ促進税制が縮小へ 2026年度税制改正で何が変わる?中小企業が押さえておきたいポイント」

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経営財務
作成日: 2026.06.02 更新日: 2026.06.18

賃上げ促進税制が縮小へ 2026年度税制改正で何が変わる?中小企業が押さえておきたいポイント

賃上げ促進税制が縮小へ
2026年度税制改正で何が変わる?中小企業が押さえておきたいポイント

2025年12月に公表された「2026年度税制改正大綱」において、企業の賃上げを後押ししてきた「賃上げ促進税制」の見直しが盛り込まれました。

これまで賃上げと人材投資を組み合わせることで大きな税額控除を受けられる制度として活用されてきましたが、今回の改正では大企業向け制度の廃止や中小企業向け上乗せ措置の廃止など、制度の縮小が明確に示されています。

賃上げを検討している中小企業にとっては、今後の人件費戦略や税務戦略に大きく影響する改正となるため、内容を正しく理解しておくことが重要です。

賃上げ促進税制とは

賃上げ促進税制とは、従業員の給与を一定以上引き上げた企業に対して、増加した給与額の一部を法人税や所得税から控除できる制度です。

政府はこれまで「賃上げ」と「人材投資」を促進するため、税制面から企業を支援してきました。

特に中小企業では、賃上げ率や教育訓練費の増加に応じて控除率が上乗せされる仕組みとなっており、多くの企業が活用してきました。

しかし、2026年度税制改正により、その前提が大きく変わろうとしています。

改正ポイント① 大企業向け制度は廃止

まず大きな変更点として、大企業向けの賃上げ促進税制は2026年3月31日をもって廃止されます。

背景には、近年の春季労使交渉(春闘)において高水準の賃上げが続いていることがあります。

政府としては、

「税制支援がなくても賃上げが定着しつつある」

と判断し、制度を終了する方向となりました。

改正ポイント② 中堅企業向け制度も終了へ

従業員2,000人以下の中堅企業向け制度については、要件を強化したうえで継続されます。

しかし、この制度も2027年3月末で廃止される予定です。

主な変更点として、給与増加率の要件が現行の3%以上から4%以上へ引き上げられる見込みです。

今後はより高い水準の賃上げを実施する企業に対象が限定される方向となっています。

改正ポイント③ 中小企業向けの上乗せ措置が廃止

中小企業向け制度については当面継続されます。

ただし、教育訓練費の増加による上乗せ措置(控除率+10%)は廃止されることになりました。

これまでは、

賃上げ
教育訓練費の増加
くるみん認定等

を組み合わせることで、最大45%の税額控除を受けることが可能でした。

しかし改正後は教育訓練費による加算がなくなるため、最大控除率は35%となります。

改正後の中小企業向け控除率

2026年4月以降に開始する事業年度では、次のような控除率となる予定です。

給与増加率が1.5%以上の場合は基本控除率15%となります。

さらに、くるみん認定など一定の要件を満たす場合には5%が上乗せされ、最大20%の控除率となります。

給与増加率が2.5%以上の場合は基本控除率30%となり、同様に5%が上乗せされることで最大35%の控除率となります。

これまで教育訓練費増加による10%上乗せを活用していた企業は、税額控除額が大きく変わる可能性があるため注意が必要です。

制度適用期間に注意

中小企業向け制度は完全に廃止されるわけではありません。

現時点では、2027年3月31日までに開始する事業年度が対象とされています。

そのため、2026年は現行制度から新制度へ移行する重要なタイミングとなります。

決算月によって適用される制度が異なる可能性もあるため、自社の事業年度を踏まえた確認が必要です。

なぜ制度が縮小されるのか

今回の見直しには大きく3つの背景があります。

一つ目は、企業の賃上げが定着しつつあることです。

二つ目は、各種租税特別措置の整理・見直しです。

三つ目は、政策の重点が「賃上げ支援」から「成長投資支援」へ移行していることです。

政府は現在、

設備投資
DX投資
研究開発投資
生産性向上投資

といった成長投資を重視する方向へ政策の軸足を移しつつあります。

中小企業が今後検討すべきこと

税制メリットが縮小される中でも、人材確保のために賃上げを実施する企業は増えています。

商工組合中央金庫の調査では、2026年に賃上げを予定している中小企業は7割を超えています。

今後は税額控除だけを目的に賃上げを考えるのではなく、経営全体の視点から判断することが重要です。

特に以下の点を検討する必要があります。

税制優遇を前提とした賃上げ計画の見直し
設備投資税制との併用
業務改善助成金などの活用
生産性向上による賃上げ原資の確保
価格転嫁による利益確保
中長期の資金繰り計画の見直し

一度引き上げた給与水準を下げることは容易ではありません。

そのため、賃上げの実施にあたっては、将来の収益計画や資金繰り計画も含めた検討が欠かせません。

まとめ

2026年度税制改正により、賃上げ促進税制は大きな転換点を迎えます。

大企業向け制度は廃止され、中堅企業向け制度も段階的な終了が予定されています。

中小企業向け制度は継続されるものの、教育訓練費による上乗せ措置が廃止されることで、最大控除率は45%から35%へ引き下げられます。

今後は「賃上げだけで節税する」という考え方ではなく、

賃上げ
人材投資
設備投資
生産性向上

を組み合わせた経営戦略がより重要になります。

賃上げを検討している企業は、税制改正の影響を踏まえながら、自社にとって最適なタイミングと方法を検討していくことが求められます。

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